特別展 武家の能と身体
―加賀藩十三代藩主前田斉泰ゆかりの能装束と
『申楽免廃論』―
期間 平成30年10月6日(土)~11月25日(日)
※前期・後期で展示替えを行います。
前期:10月6日(土)~29日(月)
後期:11月1日(木)~25日(日)
※休館日:毎週月曜(但し、祝日の場合はその次の平日)
※10月29日(月・祝)は特別開館
※展示替え休館日:10月30日(火)31日(水)
金沢では「空から謡が降る」といわれるほどに、加賀藩歴代藩主が能を愛好し、武家の式楽として手厚く保護育成してきました。とりわけ5代藩主綱紀の頃より宝生流が盛んとなり、その伝統は今日の「加賀宝生」に受け継がれています。
本展では、歴代藩主のなかでも能を最も多く自演した13代藩主前田斉泰に焦点をあて、斉泰とその子14代大聖寺藩主前田利鬯ゆかりの絢爛豪華な能装束や、明治時代以降に加賀藩と大聖寺藩がそれぞれ尾山神社と江沼神社に奉納した貴重な能面等、初公開の作品を含む約60点を前期・後期に分けてご紹介します。
また斉泰が自身の脚気のリハビリとして能を舞った体験をもとに、能の舞や謡の心身における効用を説いた著作『申楽免廃論』に注目し、武家における能と武術との関係や、その身体性・精神性に迫ります。元来、能と武術とは親密なものでした。室町時代の能大夫・金春禅鳳が「兵法は能に近い」(『禅鳳雑談』)と言及しているのにはじまり、豊臣秀吉や前田利家らの贔屓を受けた金春流の能役者・金春七郎氏勝が、柳生新陰流の秘伝を伝授されるほどの剣術の達人であったことや、剣豪宮本武蔵の『五輪書』に能が引き合いに出されていることなどからも、その密接な関係性がうかがえます。前田斉泰の能から、当時の武家における能の実際と、現代へ連なるその意義を感じていただければ幸いです。
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◆関連イベント◆
■鼎談:内田樹×安田登×藪克徳 能と身体
―加賀藩13代藩主前田斉泰『申楽免廃論』をめぐって―
日時:2018年11月3日(土)14:00~15:30
会場:金沢能楽美術館3階
料金:無料(当館観覧料が必要です)要予約
予約:10月6日(土)10:00より電話にて受付開始
定員:先着100名
現代を代表する思想家で、武道と能の実践から中世の武士の身体運用を探求する内田樹氏、能楽師ワキ方でありながら日本に数少ないロルフィングの資格を持ち、和漢の古典から現代のゲームに至るまで幅広く精通する安田登氏、そして金沢能楽会を担う気鋭の宝生流能楽師で、東京大学薬学部出身の藪克徳氏という三方が、能楽と武術における身体運用や精神性、とりまく文化について語り尽します。
●内田樹(うちだたつる)昭和25年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。
神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論。「凱風館」を主宰。
●安田登(やすだのぼる)昭和31年、千葉県生まれ。ワキ方下掛宝生流能楽師。
『論語』等を学ぶ寺子屋を主宰。Rolf Institute公認ロルファー。
●藪克徳(やぶかつのり)昭和49年、金沢生まれ。シテ方宝生流能楽師。
東京大学薬学部卒。東京藝術大学邦楽科卒。19世宗家宝生秀照、20世宗家宝生和英に師事。